【日時】2026年2月8日(日)
【会場】SUD Restaurant(東京都港区)
【テーマ】
日本酒が文化として継続性が問われる時代に何が必要か
【パネリスト】(敬称略、五十音順)
佐浦弘一、七田謙介、高橋拓児、二之湯武史、間光男、樋口宏江、平出淑惠、米田肇
【参加者】
36名/飲食店経営者、生産者、料理人、食品メーカー、蔵元など
特別企画となった次世代食文化フォーラム日本酒編は、SUDで行われた。
初めに、二之湯専務理事から食文化ルネサンスとはどういう団体なのか、なぜこの次世代食文化
フォーラムを行うようになったのかなどの紹介があった。
次に、二之湯専務理事はコロナ禍で「食業界の発信力がない、ひとりで悩んでいても仕方がない」
ことを実感した体験から、“食産業を推進していくためのリーダーが少ないことに問題意識を持っても
らいたい” “日常の実務や地元を離れて、経験豊富なパネリストたちと議論することで、
新たな刺激や学びを得るとともに、自らの視野を広げ意識を広めてほしい”と
参加者に語った。その後、「日本酒が文化として継続性が問われる時代に何が必要か」
をメインテーマに、人口減少、コスト高騰、人材不足、働き方改革、消費スタイルの変化、
インバウンドの増加など、答えの見えない時代への対応、また料理と食材とのマリアージュなど価値を
創造することの重要性、さらに社会への発信力や時代をつくる感性を備えた新たなリーダーの育成など
について問題提起された。
グループワークに先立ち、株式会社佐浦の佐浦弘一氏、天山酒造株式会社の七田謙介氏、当会の
平出淑惠理事によるトークセッションが行われ、日本酒業界の現状や課題について意見が交わされた。
佐浦氏は、20歳以上の飲酒量が30年前と比べて25%減少している現状に触れ、日本酒が“ハレの日”の
特別なお酒ではなく、日常の中で親しまれる存在となるような環境づくりが必要であると述べた。
七田氏は、酒米価格の高騰や気候変動による高温障害により原料調達が危機的状況にあると指摘。
酒米から食米へ生産をシフトする農家が増える中、蔵元自らが原料米の生産に取り組む動きが広がって
いることを紹介した。
また、「日本酒で乾杯」を推進する条例を定める自治体もあるが十分に浸透しているとは言えず、
その意義を伝え続けることが文化の継続につながるとの見解を示した。
さらに両氏からは、飲食店の飲み放題では安価な酒が使用されたり、日本酒が含まれなかったりする
ケースがあり、日本酒の価値を下げているのではないかとの意見が挙がった。これに対し二之湯
専務理事は、日本酒を文化として捉える意識が広がることで、真の意味での「日本酒で乾杯」が
浸透していくのではないかと述べた。
平出理事は、世界最大級のワインコンテスト「IWC」に「SAKE部門」が設けられるなど、
日本酒の価値が国内外で認められる一方、生産量は減少している現状を指摘。
制度面の取り組みに加え、地域ごとの蔵元の個性を知ってもらうプロモーションが、
日本酒文化の継続につながるのではないかと語った。
また飲食店経営者の立場から、米田肇理事は「日本酒の物語性も含めた価値向上の戦略が十分では
ないのではないか」と指摘。高橋拓児理事は、「日本酒はワインのように色や味わいの違いが視覚的に
分かりにくく、料理とのペアリングを提案しづらい面がある」と述べた。
これらの議論を踏まえ、「消費者に日本酒の価値をどのように伝えるか」をテーマにグループワークが
行われた。参加者からは、日本酒の“うま味”や熟成の魅力に着目すること、調理師教育の中で日本酒の
知識を広げること、若い世代に向けて蔵元自らが体験やストーリーを発信していくことなどが提案され
た。
また、海外では日本酒に対する固定観念が少なく、価値を新たに創り出せる可能性があるとの意見も
あった。
二之湯専務理事は、「企業や業界としての将来ビジョンがやや見えにくいのではないか」とし、
参加蔵元に今後の方向性の発表を呼びかけた。これに対し、酒米づくりから取り組む酒造りや、
地方でも持続可能な経営と人材確保を目指すといったビジョンが示された。
間理事は「蔵の個性を際立たせブランド化を図ることで、消費者に『この日本酒』と選ばれる
発信が重要」と述べ、米田理事も「自らの取り組みを自分の言葉で発信し続けることが大切」
と語った。
セッション及びグループワーク終了後、懇親会までのアイドルタイムに、参加蔵元の日本酒の試飲会
行われた。それぞれの蔵が誇る一献が並び、会話の和が広まった。
懇親会は、間理事渾身のフレンチのフルコースに、株式会社佐浦、泉橋酒造株式会社、
小澤酒造株式会社、大七酒造株式会社、天山酒造株式会社より提供された日本酒のペアリング、
國府鶴の酒粕を使ったデザートで舌鼓を打った。


